本年も、当ブログをよろしくお願いいたします。


本記事は、管理人が「内装を作り込んだ模型を作りたい」と思い始めてから、その縮尺が1/60に決まり、着工するまでの過程をグダグダと書き連ねたものです。


以前からあった構想なのですが、1/80よりも大きな縮尺で、内装なども細かく作り込んだ模型を作りたいと思っていました。

一昨年、作業所でOゲージサイズのドクターイエロー(923形)を作ったのですが(私への制作依頼があった)、そこで「Oゲージサイズで内装を作り込んだ模型を作りたい」と思いました。

そして、昨年の2月ごろ、書店で福島尚氏の画集を見ました。




その中には、福島尚氏が制作されたペーパーモデルも紹介されており、こちらも内装が網棚や吊革までしっかりと作り込まれていて、「内装を作り込んだ模型を作りたい」という気持ちがますます深まったのでした(この時点ではHOスケールでもよいと思っていた)。


しかしよく考えると、模型の大きさというのは思ったよりも重要で、HOゲージサイズ(1/80)では内装を作り込むには小さく、Oゲージサイズ(日本における縮尺は1/45)では大きすぎて置き場や材料の消費量が問題となるのです。



そこで「HOゲージとOゲージの中間の縮尺の規格があったはず」と調べてみると、記憶の通り、確かにありました。

それが、Sゲージです。

縮尺は1/64、軌間は22~22.9mmという、日本ではほぼ馴染みのない規格です。
(詳しい解説はWikipediaの「Sゲージ」の記事にお任せすることにしましょう)

この縮尺であれば、前述の「HOでは小さく、Oでは大きすぎ」問題をクリアできそうです。


さて、年始にふとしたきっかけがあり、このSゲージサイズで実際に作ってみることにしました。

縮尺の選定ですが、前述のwikipedia記事に、日本における展開として
日本では1947年頃、大阪の朝日屋が縮尺1/50で軌間22.5mmという製品を発売したが普及には至らなかった。これはSゲージではなく、HIゲージと呼ばれていた。一方、東京では縮尺1/60、軌間22mmを企画する人たちがいた。1947年水上純一著『ED型模型電気機関車の作り方』発行人毛利元良というSゲージ専門の本を発行。このなかでSゲージの優れた点として1.室内運転として手頃なこと。35mmゲージやOゲージよりも小さいため場所をとらないこと、HOゲージは小さいが日本の畳の上ではレールを敷設して運転することは難しいこと。2.車両製作が簡易。車両を製作するには縮尺の大きな物は省略がしづらいことをあげ、逆に小さすぎると動力装置に技術力を必要とすること。3.価格大きければ材料費がかかることをあげSゲージを推奨している。また集電方法はOゲージが交流3線式を採用しているのに対し第三軌条方式を採用していた。しかし、1949年には雑誌への広告もなくなり、事実上消滅した。
と記述されています(本記事執筆時点の版です)。

日本で販売または企画された縮尺は1/50または1/60。
また、日本で一般的な軌間である狭軌(1067mm)は、1/64だと約16.67mmと、HOゲージの16.5mmに近い軌間になります。

そこで、管理人は計算しやすい1/50を一度は採用しました。
この1/50は、青島文化教材社の電気機関車や、有井製作所(マイクロエース)の蒸気機関車のプラモデルと同じ縮尺です(これらプラモの軌間が何mmなのかは未確認)。




しかし、実際に1/50で工作用紙にケガキを行ってみると、思ったよりも大きいのです。

DSCF4945
こちらがそのケガキをした工作用紙です。
マス目を見るとその大きさが分かるでしょう。
これは車体長20mという設定の自由型電車なのですが、1/50ということは長さは40cm。
これではOゲージサイズ(20m×1/45=44.44mm)とあまり変わりはありません。

よって、1/50規格はボツとなり、1/60を採用しました。

1/60は、HO(1/80)の約1.33倍O(1/45)の約1.33分の1と、倍率的にHOとOの中間なのです。

こうして縮尺が正式に決まり、本格的な制作に入るのでした

続く